作家別作品紹介

宮部みゆき

お勧め度 内容・収録作品
火車 ☆☆☆☆ 第6回山本周五郎賞受賞/第108回直木賞候補作品
これをはじめに読んで宮部のファンになりました。
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して―なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?いったい彼女は何者なのか?謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。 たくさんの登場人物の一人一人が実にうまく描き分けられ、脳裏に焼きつくように鮮やかに残っていますこれは下の「理由」にも共通するものですね。
龍は眠る ☆☆☆ 第45回日本推理作家協会賞長篇部門受賞 /第105回直木賞候補作品
超能力を持つ二人の少年が、或る中年の新聞記者と出会った。それが彼らの生き方をどう変えたのか。
宮部の超能力ものは圧巻。超能力物が好きな人なら読み応えあり。
理由 ☆☆☆☆ 第120回直木賞受賞作品
荒川の高層マンションに住む一家4人が殺された。「誰」が殺され、「誰」が殺したのか。多くの事件関係者の証言を元に実際に起こった事件のように展開していく。宮部独特の語り口で、証言者一人一人の人生を、性格を、くっきり書き分け面白い。
摸倣犯 ☆☆☆☆☆ 第52回芸術選奨文部科学大臣賞(文学部門)/毎日出版文化賞特別賞受賞 他
連続女性殺人事件。映画にもなったこの小説、上下2巻の大部だがマスコミのあり方、理由もわからず突然家族を失った人々の苦しみ、やり場のない怒り、それを取材し、事件の本質に迫ろうとする記者。それぞれがきめ細かく描かれており、読み応え十分。映画はごみです。
蒲生邸事件 ☆☆ 第18回日本SF大賞受賞/第116回直木賞候補作品
予備校受験のため上京した主人公は,2月26日未明ホテル火災に見舞われるが,間一髪のところを時間旅行の能力を持つ男に助けられる。そしてたどりついた先は,昭和11年,雪降りしきる帝都・東京で,そこではいままさに2・26事件が起きようとしていた。
SF・ミステリーという宮部作品では珍しいジャンルの作品である。
SFが好きな人にとっては、面白いだろう。私は結構面白く読んだが、好き嫌いの分かれる作品だとおもう。
魔術はささやく ☆☆☆☆ 第2回日本推理サスペンス大賞受賞作品
一見,何の関連も無さそうに見えた三人の女性の連続自殺。しかし魔の手は確実に4人目の女性に伸びようとしていた。その頃,事件に巻き込まれ逮捕されてしまったタクシー運転手の甥の守は,知らず知らずの内に次第に事件の真相へと迫っていった。 やがて幼い時に失踪した父親の影が見え隠れし始めて・・・・・・
複雑に入り組んだストーリー,事件の真相解明の後に訪れるクライマックスでの意外な結末。読む者を飽きさせない極上のサスペンスといえる。面白かった。少年が主人公の作品は宮部の得意とするところだが、主人公の少年が次第に大人になっていくその過程がたまらなくいい。
我らが隣人の犯罪 ☆☆☆
オール讀物推理小説新人賞受賞作品
「われらが隣人の犯罪」「この子誰の子」「サボテンの花」「祝・殺人」「気分は自殺志願」
宮部みゆき文壇デビュ
ー作.。コミカルミステリー系あり、。ほのぼの系あり。特に『サボテンの花』はオススメです。
返事はいらない(短編集) ☆☆☆☆ 『返事はいらない』,『ドルシネアにようこそ』,『言わずにおいて』『聞こえていますか』,『裏切らないで』,『私はついていない』女性が主人公のどれも味のある小編です。「裏切らないで」は火車の原型
パーフェクト・ブルー ☆☆ 宮部の長編デビュー作。これ以後と比べると少し構成の甘さと硬さが見える。しかし宮部ファンなら、是非読んでください。
地下街の雨
(短編集)
☆☆☆☆ 『地下街の雨』,『決して見えない』,『不文律』,『混線』『勝ち逃げ』,『ムクロバラ』,『さよならキリハラさん』
表題作、意外な展開。ホラーあり、サスペンスあり、お勧めです。
東京下町殺人暮色 ☆☆ 平穏な下町の昼下がりに川岸で発見されたバラバラ死体。そして捜査陣を挑発するかのように送られてくる犯行声明。少年が主人公。
レベル7 ☆☆ 都内のとあるマンションの一室で目が覚めた二人の若い男女は何故か記憶を失っていた。二人はやがて腕に浮かんでいる”lebel7”という言葉だけを手掛かりに,隣人の協力を得ながら自分たちの素性調査に乗り出す。
私はまあまあだった。
今夜は眠れない ☆☆ ある日母親の元に知人から5億円の遺産が送られたことによって,それまで平凡な生活を送っていた一家は・・・。
家族の最大の危機の直面した雅夫は親友の島崎君とともにそのなぞに迫る。
スナーク狩り ☆☆☆ 自分を捨てた男性の結婚式の会場に,一人の女性が散弾銃を持って現れ新郎新婦が雛壇に上がる瞬間をじっと待っていた。半日という限られた時間の中で繰り広げられる,人の心の奥底にある弱さ,醜さ,そして哀しみを描いた迫真のサスペンス。
長い長い殺人 ☆☆☆☆ 現場を捜査した刑事の”財布”の語りから始まり,ひとつの事件に関係する人たちの”財布”が,次々と自分たちの持ち主のことを物語っていきながら,次第に事件が暴かれていくという,一風変わった趣向の連作小説。
10個の個性ある財布達の断片的な語りによって,次第に事件の全体像が明らかになっていくに従い,面白さが増していく。
とり残されて(短編集) ☆☆☆☆ 『とり残されて』,『おたすけぶち』,『私の死んだ後に』『居合わせた男』,『囁く』,『いつも二人で』,『たった一人』ホラー、ファンタジー、ミステリーとバラエティーに富んだ内容は、宮部の実力を感じさせるものです。
ステップファザー・ステップ(短編集) ☆☆☆ 『ステップファザー・ステップ』,『トラブル・トラベラー』,『ワンナイト・スタンド』『ヘルター・スケルター』,『ロンリー・ハート』,『ハンド・クーラー』,『ミルキー・ウエイ』泥棒と双子の少年とのおかしな出会いから、一連の物語が始まります。少年物が好きな人なら是非。
震える岩 ☆☆☆ 普通の人間には無い不思議な能力を持つ「姉妹屋」のお初が,深川で騒ぎとなっている”死人憑き”を調べ始める事に。100年前に起こった忠臣蔵の打ち入り事件とも絡み、意外な展開に。
霊験お初の長編捕物帖シリーズ第1作。
淋しい狩人
(短編集)
☆☆☆ 『六月は名ばかりの月』,『黙って逝った』,『詫びない年月』,
『うそつき喇叭』,『歪んだ鏡』,『寂しい狩人』東京下町にある小さな古本屋『田辺書店』を舞台に店主のイワさんと,高校生である孫の稔が活躍するミステリー。少年と、祖父のやり取りが楽しい。少年物好きな人は是非。
幻色江戸ごよみ(短編集) ☆☆☆☆☆ 『鬼子母火』,『紅の玉』,『春花秋燈』,『器量のぞみ』,『庄助の夜着』『まひごのしるべ』,『だるま猫』,『小袖の手』,『首吊り御本尊』,『神無月』,『侘助の花』,『紙吹雪』
宮部の江戸物をはじめて読んだのがこれです。最高。「紅の玉」泣けます。「器量のぞみ」発想が面白い。江戸もの短編集では、一番のお勧め。茂七親分この本で主役として登場。
夢にも思わない ☆☆ 緒方雅夫君とその親友で、頭のいい島崎君。中学生コンビのシリーズもの
初ものがたり ☆☆☆☆ 『お勢ころし』,『白魚の目』,『鰹千両』,『太郎柿次郎柿』,『凍る月』,『遺恨の桜』,『糸吉の恋』
宮部の江戸物は本当にいいですね。
テレビドラマ化されましたが、テレビでは原作の持つ味わいを出すのはなかなか難しいと思います。
かまいたち
(短編集)
☆☆☆ 『かまいたち』,『師走の客』,『迷い鳩』,『騒ぐ刀』
霊験お初、初登場の作品です。
天狗風(長編) ☆☆☆☆ 霊験お初と右京之助のコンビ第2弾。事件の真相を調べる二人の前で次々に起こる怪事件。
江戸ものホラーサスペンス。宮部ファンなら楽しめること請け合い。
堪忍箱(短編集) ☆☆☆☆ 代々近江屋の当主に引き継がれていく”堪忍箱”は,決して中身を見てはいけない決まりになっている。もし開けると近江屋に災難が降りかかるといわれているが・・・・・・。
収録作品『堪忍箱』,『かどわかし』,『敵持ち』,『十六夜髑髏』『お墓の下まで』,『謀りごと』『てんびんばかり』,『砂村新田』  どれも面白い。「砂村新田」いいですね。
本所深川ふしぎ草紙(短編集) ☆☆☆☆ 収録作品『片葉の芦』,『送り提灯』,『置いてけ堀』,『落葉なしの椎』『馬鹿囃子』,『足洗い屋敷』,『消えずの行灯』  江戸、深川に伝わる”七不思議”をモチーフにして,下町で起きる事件を通しそれらを取り巻く人々の悲哀や,下町人情を味わい深く描いた連作短編集。茂七初登場。お勧めです。
R.P.G ☆☆☆ 都会で起こったいくつかの殺人事件、被害者はネット上で「疑似家族」を作っており,錯綜した人間関係が拡がっていた。誰が殺したのか?家族ごっこに興じる彼らに何が起こったのか?ヴァーチャルな世界と現実をさまよう現代人の心の闇を通して,まるで舞台劇のように繰り広げられる「家族の絆」とは何かを問うミステリー作品。
今のネット社会で起こりうる世界をリアルに描いている。
人質カノン
☆☆☆☆ 『人質カノン』,『十年計画』,『過去のない手帳』,『八月の雪』,『過ぎた事』,『生者の特権』,『漏れる心』
都会の中の日常の出来事を,可笑しくもほのぼのと描いたミステリー集。
鳩笛草(短編集) ☆☆☆ 『朽ちてゆくまで』,『燔祭』,『鳩笛草』
予知,念力発火,透視というそれぞれ異なった超能力を持つ3人の女性がその苦しみにあえぎながらも強く生きていく姿を描く。。「クロスファイアー」は「燔祭」の続編
クロスファイア ☆☆☆ 深夜の廃工場。三人の若者によって,男が水槽に投げ込まれようとしていた。それを目撃した青木淳子は,掌から火炎を放ち瞬時に若者二人を処刑した。彼女は念力放火能力を隠し持つ超能力者だった!超能力者の持つ孤独を背負い、重火器として生きる道を選択した淳子、彼女がその能力の使い方を会得できていない幼いかおりに出会ったとき・・・。鳩笛草『燔祭』の続編。これは映画にもなったんですね。知らなかった。
心とろかすような
シリーズ集
☆☆ 『心とろかすような』,『手のひらの森の下で』,『白い騎士は歌う』,『マサ、留守番する』,『マサの弁明』
探偵事務所の調査員蓮見加代子とその相棒である元警察犬のマサのシリーズ
平成お徒歩日記 ☆☆☆
真夏の忠臣蔵』,『罪人は季節を選べぬ引き廻し』『関所破りで七曲がり』,『桜田門は遠かった』『流人暮らしでアロハオエ』,『七不思議で七転八倒』『神仏混淆で大団円』
赤穂浪士のたどった道、箱根越えに、お伊勢廻りと、宮部みゆきと”お御徒隊”が古地図や資料を頼りに江戸を歩き回った珍道中を綴った7編の紀行エッセイ。宮部お疲れ様の巻。